GS1コードの標準化動向

月刊自動認識寄稿 2016年9月

概要

バーコードが開発されてから40年以上になり、近年は、流通標準シンボルとしてGS1 Databar、GS1 CompositeにつづきGS1 DataMatrix、GS1 QR Codeが追加された。また、カラービットコード、カメレオンコードなどのカラーコードや、デジタルマークなどのドットコードが開発され、光学的認識技術が広がってきている。一方では、GTIN、GLN、SSCCなどの識別コードの標準化も進んでいる。また、GS1モバイルやGS1ヘルスケアなど、アプリケーションの標準化も行われている。そして、これらの識別コードは、RFIDのEPCグローバルでも利用され、バーコードとRFIDでデータの共有化が行われている。次に、近年のバーコードの技術動向について説明する。

標準化が進むGS1識別コード

近年、JAN企業コードがGS1事業者コードに名称が変更され、グローバルなポジションが一層強化された。そして、このGS1事業者コードに組織、場所、梱包、通箱、資産など、連続番号を付加したGS1識別コードが定められた。それは、グローバルなB to BやB to Cの取引には、GS1識別コードが欠かせないからである。また、このGS1識別コードは、データが96ビットに圧縮されEPC (Electronic Product Code)タグにも使用されている。

我が国では、GTINがJANコードとして広く利用されている。また、ロケーション識別コードGLNは流通BMSの普及共に利用が増え、梱包識別コードSSCCはSCMラベルに利用されている。現在、GS1が規定しているGS1識別コードは表1のとおりである。

 表1 GS1 識別コード

 GS1 識別コード データ内容 EPCコード
GTIN Global Trade Item Number
商品識別コード(14桁)
AI ”01,02” + 梱包インジケータ(集合梱包のとき)+GS1事業者コード+アイテムコード+C/D SGTIN
GLN Global Location Number
企業・事業所識別コード(13桁)
AI “410~415” + GS1事業者コード+ロケーション番号+C/D SGLN
SSCC Serial Sipping Container Code
輸送用梱包識別コード(18桁)
AI “00” + 拡張子+GS1事業者コード+梱包シリアル番号+C/D SSCC
GRAI Global Returnable Asset Identifier
リターナブル容器識別コード(30桁以下)
AI ”8003” + 14桁の備品コード(0+GS1事業者コード+資産コード+C/D)+最大16桁のシリアル番号 GRAI
GIAI Global Individual Asset Identifier
資産識別コード(30桁以下)
AI “8004” + GS1事業者コード9桁(または7桁)+固定資産番号 GIAI
GSRN Global Service Relation Number
サービス関係者識別コード(18桁)
AI “8017, 8018” + GS1事業者コード9桁(または7桁)+サービス提供者・利用者コード+C/D GSRN
GDTI Global Document Type Identifier
申告書/保険証券等識別コード(30桁以下)
AI “253” + 13桁の文書コード(GS1事業者コード+文書タイプコード+C/D)+最大17桁のシリアル番号 GDTI
GINC Global Identification Number for Consignment
積荷番号(30桁以下)
AI “401” + 積荷番号、貨物番号30桁 GINC
GSIN Global Shipment Identification Number
出荷識別番号(17桁)
AI “402” + 船積証券17桁 GSIN
GCN Global Coupon Number
クーポン識別コード(25桁以下)
AI “255” + 13桁のクーポンコード(GS1事業者コード+クーポンコード+C/D)+最大12桁のシリアル番号 GCN
CPID Components/Parts Identification Number
部品・構成品識別番号(30桁以下)
AI “8010”  + 部品や商品の一部構成品30桁 CPID

 

商品識別コード GTIN

GTIN (Global Trade Item Number)は、GS1により制定された国際標準の商品識別コードで、JAN (EAN)コードやUPCコードを含む総称である。EDIで使用する場合は、14桁に統一するために、データの前を“0”で埋める。

GTIN-14は、パッケージインジケータ、GS1事業者コード、アイテムコード、チェックデジットで構成されている。GS1事業者コードは、9桁と7桁があり、これに伴いアイテムコードも3桁と5桁がある。パッケージインジケータPIは、単位包装の場合は1、集合梱包の場合は入数に応じた2~8の数字を使用する。チェックデジットは、モジュロ10、ウェイト3の方式で算出する。アプリケーション識別子は、単位包装の場合は(01)を使用し、集合包装の場合は(02)を使用する。

GTIN

企業・事業所識別コード GLN

GLN (Global Location Number)は、GS1が規定した国内および国際間取引において相互に企業や事業所等を識別するための国際標準の事業所コードである。GLNは、GS1事業所コード9桁(または7桁)、ロケーションコード3桁(または5桁)、チェックデジットの13桁で表示することになっている。GLN事業者コードは、国コードとJAN企業コードで構成され、各国のコード管理機関に委ねられていて、日本では、(一社)流通システム開発センターが担当している。ロケーションコードは、事業者コードの貸与を受けた企業が、取引上の識別が必要な単位で自ら設定する。9桁のGS1事業者コードを受けた企業は、3桁のロケーションコード(最大999件)が使用でき、7桁のGS1事業者コードを受けた企業は、5桁のロケ―ションコード(最大99,999件)が使用できる。チェックデジットは、モジュロ10、ウェイト3の方式で算出する。

GLNは、日本では当初、百貨店eマーケットプレイス、日本生活協同組合のEDIシステムに使用され、近年では流通BMSで使用されている。

 M₁M₂M₃M₄M₅M₆M₇M₈M  L₁L₂L  C/D

GS1事業者コード   ロケーションコード チェックデジット

(9桁)         (3桁)    (1桁)

 M₁M₂M₃M₄M₅M₆M  L₁L₂L₃L₄L  C/D

GS1事業者コード  ロケーションコード チェックデジット

(7桁)         (5桁)    (1桁)

物流識別コード SSCC

SSCC (Serial Sipping Container Code)は、出荷梱包シリアル番号であり、GS1が規定した輸送用梱包単位(パレット、ケース、カートン等)の物流識別コードである。輸送ユニットのユニーク識別コードISO/IEC15459でも規格化され、ライセンスプレートとも呼ばれている。

SSCCは、梱包拡張子1桁、GS1事業者コード9桁(または7桁)、梱包シリアル番号7桁(または9桁)、チェックデジット1桁の合計18桁で表示することになっている。チェックデジットは、モジュロ10ウェイト3の方式で算出する。また、梱包拡張子は、0がケースまたはカートン、1がパレット、2がコンテナのように使用し、アプリケーション識別子は、“00”を使用する。

梱包シリアル番号は、企業内で管理する番号で、1番から最後まで付番したら、再び1番から繰返し使用する。したがって、同じ番号が存在することになるが、荷物を追跡しなければならない期間に同じ番号が存在しなければ問題ないという認識に基づいている。

SSCCは、百貨店協会やチェーストア協会が標準化した SCM (Sipping Carton Marking) 検品のSCMラベルに利用されている。また、国際標準輸送ラベル(ISO15394/JIS-X-0515)にも使用されている。

PI     M₁M₂M₃M₄M₅M₆M₇M₈M₉   N₁N₂N₃N₄NN₆N   C/D

梱包拡張子  GS1事業者コード      シリアル番号    チェックデジット

(1桁)   (9桁)             (7桁)     (1桁)

PI     M₁M₂M₃M₄M₅M₆M     N₁N₂N₃N₄NN₆N₇N₈N  C/D

梱包拡張子  GS1事業者コード      シリアル番号    チェックデジット

(1桁)   (7桁)             (9桁)     (1桁)

通い容器識別コード GRAI

GRAI (Global Returnable Asset Identifier)は、リターナブル容器識別番号であり、GS1が規定したパレット、オリコン、カゴ車、コンテナ等の企業間で繰り返し利用する資産識別コードである。GRAIは、固定値0、GS1事業者コード9桁(または7桁)、資産種別コード3桁(または5桁)、チェックデジット1桁の合計14桁で表示することになっている。チェックデジットは、モジュロ10ウェイト3の方式で算出する。また、上記の資産識別コードの後に、最大16桁のシリアル番号を任意に付加することができる。アプリケーション識別子は“8003”を使用し、GS1-128シンボルを使用する。日本では、EPCを使用して資産管理が行われている。

0   M₁M₂M₃M₄M₅M₆M₇M₈M  A₁A₂A  C/D   S₁S₂S₃S₄S₅・・・

固定数字  GS1事業者コード 資産種別コード チェックデジット シリアル

(1桁)   (9桁)          (3桁)   (1桁)    (16桁以下)

0   M₁M₂M₃M₄M₅M₆M  N₁N₂N₃N₄N  C/D   S₁S₂S₃S₄S₅・・・

固定数字  GS1事業者コード 資産種別コード チェックデジット シリアル

(1桁)   (7桁)          (5桁)   (1桁)    (16桁以下)

バーコードとEPCの識別コードの共有化

POSや物流では、バーコードとEPCタグを併用するので、どちらを読んでも同じデータが入力されなければならない。その意味でも前述した識別コードの標準化は極めて重要である。

RFIDは、バーコードと異なり複数タグを一括読取できるため、同じアイテム(GTIN)であっても個々のタグを識別する必要である。したがって、識別コード(GTIN)のみを書き込むのではなく、タグのシリアル番号も書き込むことをSGTINと呼ぶ。このシリアル番号は、各事業者が同じGTINのなかで重複しないように管理しなければならない。

EPCタグのV1.2は、ユーザエリアに96ビットという制限があるので、バーコードの表記をそのまま書き込むことができない。そこで、識別コードを認識するコードをヘッダに書き、フィルタとパーディション付加してから、図1のようにGS1事業者コード、アイテムコード、シリアル番号の順に書き込む。フィルタは、個品やケース単位など複数の単位にEPCタグが付いていることを識別するための値で、設定は任意なので、特に不要な場合は000に設定する。

EPC コーディング

 GS1 JapanのHPから引用

サプライチェーンの可視化

GS1は、商品がどこにあったか、どこにあるか、どのような状態にあるかなど情報をサーバに蓄積し、誰もがそのデータにアクセスできるようにするサプライチェーンの可視化に取り組んでいる。この標準化がEPCIS (EPC Information Services)である。EPCタグでは、様々な場所やシーンで頻繁に読み取ることができるので、これらの膨大な情報の集積は高い価値を生み出すが、同じ識別コードを使用するバーコード情報も蓄積することにより、その価値はより高くなる。

蓄積するデータ

サプライチェーンのなかでEPCタグやバーコードが読取されたときにサーバにデータを蓄積する。このとき、商品(What)、場所(Where)、時間(When)、状況(Why)の情報を蓄積する。商品は、GTINまたはSGTINを取得し、場所はリーダの設置場所、時間はコンピュータのシステム時間であり、これらはシステムで容易に取得できる。状況とは、入荷、出荷、検品などのイベント情報であり、これは、作業指示情報から取得するか、任意に入力するかなど、少し工夫が必要である。

標準化の範囲

GS1は、商品、場所、時間、状況のデータ形式とサーバとのアクセス方式など、EPCISの基本的な部分の標準化を進めている。また、実際に運用するためには、アカウント管理やセキュリティ対策、そして、利用者の費用負担方法など、これら以外の標準化も必要であるが、データ蓄積には多くの時間を要するので、まず、基本的な部分を標準化しておくことは重要である。そして、必要に応じて標準化の範囲を拡大していくことになる。

サプライチェーンのトレーサビリティ

商品の所在ばかりでなく、商品がいつ工場を出荷され、いつ物流センターに入荷し、その後、いつ出荷されて、いつ店舗に入荷したかなど、過去に遡って見ることができる。また、その流通経路も把握できる。しかも、本システムは海外企業も利用できるので、飛行機や船による国際物流や海外の流通経路も知ることができる

企業内サプライチェーン

製造業は、多くの外注先や海外工場を使用しているが、これらの間で部品、半製品、製品がいつどのように移動しているかを把握することは重要である。従来は、SAPなどのERPを導入していたが、すべての外注先にこれを導入させることはできない。しかし。EPCISなら全ての関連企業でデータを取得することによって容易に実現できる。

また、1つの工場の中でも、部品出庫から組立、検査、製品へと様々なプロセスを通過するが、このプロセスの情報を蓄積することによって製造トレーサビリティを行うことができる。しかも、取得したデータと製造プロセスと照合することによって、製造ミスを防止することも可能である。

EPCIS

 GS1標準の2次元シンボル

GS1は、バーコード読取のインフラを考慮して、長年、JANやGS1-128などの一次元シンボルの普及に努めてきたが、1次元シンボルのマーキングができないアプリケーションに限定して、GS1 DataMatrixやGS1 QR Codeを標準シンボルに加えてきた。そして、表3のように2015年からこれらの利用範囲が大幅に拡大された。

GS1は、GS1-128やGS1 DataBarなどの1次元シンボルを基本に置いているため、2次元シンボルのEDI利用を承認していない。また、医薬品・医療機器業界での混乱を避けるために、この分野でのGS1 QR Codeの利用を承認していない。

GS1 2次元シンボル

 

GS1 DataMatirxとGS1 QR Codeは、いずれもISO/IEC規格をベースにGS1として標準化したシンボルである。GS1 DataMatirxは、ISO/IEC規格を殆どそのまま採用しているのに対し、GS1 QR Codeは、Micro QR Codeと連結シンボル(構造化アペンド)が使用できないこと、漢字(13ビット)と拡張チャンネル解釈ができないなど、多くの使用制限がある。拡張チャンネル解釈とは、かな・漢字、アラビア文字、ハングル文字などのアルファベット以外の文字のことである。

また、可変長データの後の区切り文字については、GS1の一般仕様書では、FNC1キャラクタを挿入することになっているが、そもそもQR Codeには、FNC1キャラクタが存在しないので、他のキャラクタを代用する。英数字モードでは、"%"を使用し、8ビットバイトモードでは、<GS>を使用する。英数字モードで"%"がデータの一部に使用されている場合は、"%%"を使用し、リーダは、"%"を1個出力する。

GS1DMとGS1QRの比較

  

 

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